2017年01月31日

二年前の今日、草津市のお蔵作業日記(1)

<2015年1月31日 7:50、facebookの投稿より> ·

おはようございます。

昨日も、朝から小学校へ運び込んだモノを前に授業のあと、
午後は草津市南山田町のお蔵見学、そのあと、
小学校へ今後の授業の打ち合わせ・・・と盛りだくさん。

小学校に、お蔵に、たくさんの熱意ある方々が居合わせ、
古いモノと人とコトと、一人ひとり自身が深く交流しました。

特筆すべきは、家主のおばあちゃんが、
寒いのに出てきて、ぜんざいとお茶をふるまってくださり、
少しばかり、お話しができたことです!

・憧れの「あの立派な小屋」の家に嫁いできたこと
(私が「お蔵」と呼んでいる建物は、近所の人も注目する
「立派な小屋」だったのです。)

・親元が嫁入りのとき長持に準備してくれた新しいお布団は
初めての夜、使っただけで、あとは長持の中だったこと

・畑でとったほうれん草は、夜露にあてるとしゃんとするので、
夜は庭先に並べて、朝2時から束にしてまとめて、
リアカーに乗せて浜まで運んで、そこから船に積みかえて、
大津まで自分で漕いで運んだこと(櫓をこぐ手の動きが経験者)
(大津からは、下肥を運んで来て、畑にまいた)

・ご長男(今の家主のご主人)を出産されて、
親元に30日里帰りして帰ってきたときに、
子ども用の布団(すぐに使えなくなるので、大人用を
長持に入れて)と、
こうじぶたを新調して、中に二段重ねのお餅を入れて、
持たせてくれたこと
(お餅はご近所に配って長男誕生の報告をした)


・・・私が目にした一つひとつのモノに、
歴史と物語が、はっきりと見えてきました。

お話しの中に出てきた「こうじぶた(餅箱)」
五段重ねで(蓋が一つしかない)、
高さが普通の餅箱より分厚いのです。
そして、状態がとてもよい。使用感がほとんどない。

おばあちゃんのお話しを聞いて、すべて納得。

実は、この餅箱、欲しい方が複数いらっしゃって、
私は
「バラバラにせず、一人の方に全部持ち帰ってほしい」
とお伝えしました。

そして、おばあちゃんから聞いた
大事な物語を、持ち帰った方にお伝えしました。

その方からは、そんなストーリがある
「大切なすばらしい物をわけていただきありがとうございました」
とおばあちゃんに伝えてほしいと返事がきました。

私は、こうした想いの交わりが、とても嬉しい。
うまくいくと、とても気持ちよく、楽しく、心が躍るのです。

× × ×

昨日は、あまりに疲れて、電池が切れたように深く眠り、
今朝、目覚めて、気づいてしまった。

このお蔵をもつ家のご先祖さまが、一番、望んでいること。

それは、いま、私がやっていることではない。
いったい、私はなにをやってきてたんだ。

心を落ち着かせ、もう一度、深く自分に問い直す。
行くしかない!(謎)


・・・・・

今朝、facebookを開けたら、二年前の今日のこの投稿が飛び込んできて、
(facebookには、ランダムで過去のその日の投稿が表示される機能があるのです)

リアルに、このときのことを思い出しました。

そう、私はこの日、この投稿をしてから、

「どうしても会ってお話しして確認しておきたいことがある」
と、持ち主のご主人に電話して面会のアポイントを取って、
お宅に伺ったのでした。

お蔵の解体の目的は、
ご結婚される息子さんの新居を建てるためでした。

自分たちが結婚したときに、
父親が準備し家族で住んでいたお蔵に隣接する離れも、
今回はお蔵と一緒に解体して、そこに新居を建てる計画で、

ご主人は、家長として、
工期を一日も遅れることなく新居完成するために、
お蔵の中の片付けに日々勤しんでおられるところでした。

私は、ご主人としばしお話しをしたあと、
この日の朝、気づいたことを率直に口にしました。

”ご先祖さまは、ほんとうはあの立派なお蔵を活かして、
子孫が住んでくれることを望んでいるのではないか。”

”新居に住む息子さんたちの意向は、くんでおられるのか。”

ご主人は、きっぱりと、

「蔵を解体して新居を建てることはご先祖さまの了承あってのこと。
新居は、親が準備するものであって、息子が口を出すことでない。」

とお答えになりました。

私は、おさまらない気持ちを抱えながら、

「ご仏壇におまいりさせていただいてもいいですか」と了承を得て、
手を合わせて目を閉じ、心の中で祈りをささげました。

すると、
”ご主人のやりたいようにやるのがよい。決意は固い。”
ということがストンと腑に落ちました。

「わかりました。
差し出がましく不躾にも自分の想いをぶつけ、失礼しました。
聞いてくださってありがとうございます。」

と、さっぱりした気持ちで去ったのを思い出します。

もし、この日、実際にご主人に会って確認しなかったら、
私は思い出すたびに、後悔していたことでしょう。

代々受け継がれていくということが、どれほど、重く深いものか。

そして、いまの世の中では、
このことがあまりに軽んじられている
(大事なことなのに)。


そんなことに気づかされた、貴重なできごとでした。



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Posted by なかてぃヨーコ at 15:05│Comments(0)リアル作業日記
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